マザー症候群
美波が游に電話を入れ、北にある高級ホテルのバーで待ち合わせをした日。
美波は、その日朝から酒を飲んでいた。それも、浴びるように。
待ち合わせ場所に行く為に玄関を出た頃には、足は千鳥足。すっかり出来上がった状態だった。
今日の美波。今までと違って酒に溺れている姿を隠す気は無かった。全く。むしろ、真逆。今の自分を正直にさらけ出すつもり。
あっちによろよろ。こっちによろよろ。
やっとの思いで美波、北にあるホテルのバーに到着。
「どっこいしょ」
と、カウンター席に腰を下ろす美波。
普段着。ノーメイク。カウンターに蹲る美波は、ただの酒飲みのおばはんだった。ブランド物のスーツを恰好良く着こなす垢ぬけた美波は、どこにもいなかった。
そこに游が現れた。