マザー症候群

 義母の事といい、後輩の女といい。腹の立つ事ばかり。その上に、プロポーズの涙天中止。
 考えれば考えるほど、道瑠の堪忍袋の緒がぷつんと切れた。
 「てめえはこれだけの女に涙を見せるだけ。ただそれだけか。誠意のかけらも見せへんつもりか」
 と、道瑠が波斗に喧嘩を売った。
 「えっ、何が」
 突然、凄い剣幕で罵声を上げる道瑠に波斗が驚いた。
「舐めたらあかんで。何がお袋、お袋、お袋や。そんなにお袋がええねんやったらお袋と結婚せんかい」
 「そんなあ」
 「そんなあもシンナーもあるかい。ふざけやがって。あの女がお袋の味を出したって。レシピを出さんかい。俺でも出来るわい」
 「ごめん。そんなつもりで」
 「ごめんもそうめんもあるかい。人が心込めて料理作ってるのに。何が薄味や照りが無いや。てめえが作ってみろ。あほんだら」
 そう言うや否や。道瑠の拳が宙を飛んだ。
 バシン。
 強烈なパンチが波斗の頬を捉えた。


 
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