言わなきゃわからない?
***





栄さんは掴み所がない。

ポーカーフェイスで。
いつも淡々としていて。
そうかと思えば、飲み会で見せるくしゃっとした笑顔。
ギャップにやられた人は少なくないはず。
しかし。
最近はひとりらしい。
これらの情報は後輩、由貴チャンスからの情報。


「あ、相田さん。課長探してましたよ」

「ありがとう」


午後も折り返しになる15時すぎ。
休憩スペースで飲み物を買ってデスクに戻ると、隣りの由貴ちゃんが声をかけてきた。


「で、その課長は?」


デスクにはいない。


「タバコじゃないですかね」

「ちょっと行ってきます」


戻って早々にあたしはデスクを離れる。
買ってきたミルクティーの缶を一瞬デスクに置いたが、持っていくことにした。

< 4 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop