祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
「同じ花嫁候補ならフェリックス……殿下よりフィリップ殿下にした方がいいんじゃないか?」
自分よりも優秀で国王である父親にも目をかけられている弟の名をフェリックスは口にする。自分より、年もローザと近いし将来性を考えるなら、そちらがいいに決まっている。
「どうして?」
しかし、そんな事情がまるで理解できないと言わんばかりのローザの返答に、フェリックスは見えていないのをいいことに、ローザを睨みつけた。
「誰もがそう言うさ。お前も噂くらい聞いたことがあるだろ。兄のフェリックスは第一王子のくせに、政治に興味もなく、王になる覚悟もない。逃げ回ってばかりの腰抜けだ」
吐き捨てるように告げた言葉は八つ当たりだった。弟の方が王の資質を持っている。それでいいじゃないか。ただ、自分が第一王子という位にいるだけで、勝手に背負わされた。
投げ出したいのに投げ出せない。そんな覚悟も持てない。中途半端な自分は、なにも知らないローザに感情を剥き出しにして。
「……私も同じだよ」
ふと呟かれたローザの意外な一言にフェリックスは、続けようとした言葉を飲み込まざるをえなかった。ローザはフェリックスから顔を逸らし、どこか遠くを見つめる。
「私も、ズーデン家に生まれただけで、方伯になる覚悟も資質もないよ。お父さまとお母さまがあんなことになって、泣き言を言う暇も与えられず、ただ現実に攻め立てられて」
そこで、ローザはフェリックの方に微笑んだ。ヘーゼル色の瞳に自分は映っているのに、ローザには見えていないのが不思議でならない。
自分よりも優秀で国王である父親にも目をかけられている弟の名をフェリックスは口にする。自分より、年もローザと近いし将来性を考えるなら、そちらがいいに決まっている。
「どうして?」
しかし、そんな事情がまるで理解できないと言わんばかりのローザの返答に、フェリックスは見えていないのをいいことに、ローザを睨みつけた。
「誰もがそう言うさ。お前も噂くらい聞いたことがあるだろ。兄のフェリックスは第一王子のくせに、政治に興味もなく、王になる覚悟もない。逃げ回ってばかりの腰抜けだ」
吐き捨てるように告げた言葉は八つ当たりだった。弟の方が王の資質を持っている。それでいいじゃないか。ただ、自分が第一王子という位にいるだけで、勝手に背負わされた。
投げ出したいのに投げ出せない。そんな覚悟も持てない。中途半端な自分は、なにも知らないローザに感情を剥き出しにして。
「……私も同じだよ」
ふと呟かれたローザの意外な一言にフェリックスは、続けようとした言葉を飲み込まざるをえなかった。ローザはフェリックスから顔を逸らし、どこか遠くを見つめる。
「私も、ズーデン家に生まれただけで、方伯になる覚悟も資質もないよ。お父さまとお母さまがあんなことになって、泣き言を言う暇も与えられず、ただ現実に攻め立てられて」
そこで、ローザはフェリックの方に微笑んだ。ヘーゼル色の瞳に自分は映っているのに、ローザには見えていないのが不思議でならない。