高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「薄々感じてたんだよね。兄貴と付き合ってるんだろ?」

「付き合うも何もそういう関係じゃ」

時頼さんはわたしににじり寄りながら、冷たい眼差しを送っている。

「じゃあ、どういう関係だっていうんだ」

「ただの仕事上のおつきあいだけで」

「仕事上ならキスしても構わないのか?」

時頼さんのぶっきらぼうな発言にぐっと胸が締め付けられる。

やっぱり土曜日、社長の部屋に入っていたとき、みられていたんだ。

「じゃあ、俺ともつきあえよ。ひとり増えたって構わないだろ? お前には彼氏がいるんだし」

時頼さんは平然とした態度に言葉がかえせない。

わたしの行為にここまでして時頼さんの気持ちを加速させたなんて。

「つむぎには悪いが、昔から人のものが欲しい性分でね。とくに兄貴のものは欲しくなるんだよ」

「もしかして、社長の彼女も?」

「奪ってきたのかな。あっちから自然と寄ってくるんだよ。だから相手してあげてるんだ。不思議なことに、すぐに飽きられるんだよね、俺」

「それは女性の扱いが悪いんじゃないんですか」

「じゃあ、教えてくれよ、つむぎ。俺の女になれ」

「そんなの困りますって」

立ち上がろうとしたが、わたしの両肩に時頼さんの両手が食い込む。

凍った眼差しのまま、体を折るようにしてわたしの唇に時頼さんは自分の唇を押し当てようとした。

「離れろ、時頼。つむぎさんに」

ドアを強く開け、藤崎社長が駆け寄ってきた。

「忘れ物を取りに帰ってみたら、このザマか。キスする行為は未遂に終わったわけだな」

「ちっ、兄貴かよ」

「隙をみせればキスしたくなるが、つむぎさんを困らせるな」

「どうして。兄貴はつむぎよりもさおりさんのほうが大事だっていってただろう」
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