高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「生活体験についてのモニター?」

居間のソファにとりあえず藤崎社長に座ってもらい、わたしはカーペットの上に座る。

持ってきたボストンバッグの中からファイルを取り出し、手渡された。

依頼主であるデータ処理会社からの資料だった。

「はい。ちょうどいいタイミングで、生活のなかでどれだけ必要なものかを調査依頼がきましてね。そのデータをとろうと思いまして」

「え、それで」

「つむぎさん、あなたの生活行動を把握させてほしいのです」

藤崎社長は真剣な表情をして、わたしの顔をまじまじとみている。

「もう契約してしまったんですよ。会社のためにお願いできませんか?」

「え、あのいつから」

「今日から一週間です」

「一週間ですか、それならいいんですけど」

「了承してもらえて嬉しいですよ」

と、藤崎社長はほくそ笑み、ボストンバッグからタブレット端末を取り出し、どこかへ連絡をしていた。

「あ、あの、社長?」

「どうしました?」

不思議そうな顔を浮かべてずっとソファから動こうとしない。

「あの、生活体験でしたら、藤崎社長にまとめて資料を作って送りますから。今日のところはこれで」

「研究対象者は一人ではなくて二人なんですよ」

そういうと藤崎社長はほっとしたのか、わたしの動揺しているサマにも余裕たっぷりだ。

待って。社長とこの部屋で暮らすってこと?

「こちらは二人入居可能ですよね。さっき別の階でカップルが仲良く部屋に入っていましたので。楽しみましょうね、一週間の期限付き同居を」

清々しくきっぱりとした口調で藤崎社長が言い放った。
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