高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
まんまと口車に乗せられたようだったけれど、一週間だからいいか、と思うようにした。

藤崎社長はすくっと立ち上がると、夕飯まだですよね、キッチンを借りますといって、冷蔵庫の中にあったもので簡単な食事を作ってくれた。

「おいしいです」

小さなダイニングテーブルに簡単とはいいながらも手を加えた料理がずらりと並んでいる。

「作りごたえがありますよ。明日、材料買って帰りますね」

藤崎社長はわたしの言葉に穏やかに笑みをこぼした。

食後、食器を片付けているとき、肘が藤崎社長の腕に当たってしまった。

「あ、ごめんなさい」

「いつにでも増して密着度が高いですね」

このキッチンに二人で横に並んで立つのは初めてだった。

火照ってしまった顔をみられないように下を向いて食器を片付けていると、みかねた藤崎社長が、

「まだ始まったばかりなんですから、そんなに緊張しないでください」

と、耳元で囁いた。

問題はお風呂だった。

「僕は覗く趣味は持ち合わせておりません。つむぎさんの御宅ですからご自由になさってください。つむぎさんがどうしてもというなら、一緒に入りますが」

「それはちょっと」

「お風呂上がりのつむぎさんはどんな感じが気になります」

藤崎社長の視線を感じつつ、ドキドキとしながらシャワーを浴びる。

首筋にはまだうっすらと藤崎社長が残した跡が残っていた。

今夜、またつけられるのだろうか、と想像しただけで体の熱が急上昇した。


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