高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
パジャマに着替え、洗面室から出てくると、小走りに藤崎社長がやってきた。

「え、あの」

「とって食べようと思いませんよ」

首にかかるタオルでわたしの髪の毛を拭いてくれた。

「かわいい薄いピンクのパジャマですね。お似合いですよ」

ドキドキしてしまって言い返せない。

「キスマーク、まだ消えずに残っていますね」

首筋から流れる汗を藤崎社長は伏し目がちになりながらタオルで拭ってくれる。

「知りたくありませんか? 僕のこと」

「……知りたくないといえば嘘になりますが」

「知りたければ、僕の指示さえ守ってくれたら教えますよ」

そういってお風呂借りますね、と声を弾ませながら、藤崎社長は浴室へ入っていった。

「シャンプー使わせてもらいました。つむぎさんと同じ香りに包まれました」

濡れた髪の毛を無造作にタオルで拭きながら、居間に戻ってきた。

同じシャンプー、ボディーソープを使っても、藤崎社長のほうがいい香りが漂ってくるのは気のせいだろうか。

由基からは何も感じなかったのに。

「明日もあることですし、今夜はゆっくり休みますか。つむぎさん、ベッドに横になってください」

藤崎社長はクーラーの設定温度を調整しながらソファに横になっている。

明日の支度をしてからベッドに入り、タオルケットで体を覆って壁際に横たわった。

ドキドキしすぎて眠れそうもない。

体を硬直させたままだったが、ぎしっという音を立てて、藤崎社長はわたしの隣に横たわった。

少し大きめのベッドにしておいてよかった、というやましい気持ちが頭をよぎってしまう。

「藤崎社長、あの……」

「欲しくなったらいってください。いつでも準備できてますから」

「……そ、そうじゃなくって。これは指示ですか」

「指示ならつむぎさんは僕に抱かれますか?」

と、さおりさんにもそういう言葉を投げかけていたんだろうか。
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