高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「そんなこと、言わないでください」

「そういうと思っていましたよ。これでも抑えているほうなんですからね。少し意地悪なことを言わせるのはつむぎさんのせいですよ」

もしかしてそういいながらしてくるんじゃ、とわたしに腕をのばしてきたので体を硬直させた。

けれど、大きな掌で頭を撫でてもらった。

手をつないでいるだけなのにこんなに安心できるんだ、と思っていたら藤崎社長から寝息が聞こえる。

小気味いいリズムの寝息を聞いていたらなんだかわたしまで眠くなってきた。

「おはようございます。つむぎさん、朝ですよ」

シャっというカーテンを開ける音とともに日差しが窓を伝って部屋の中へおりてくる。

お味噌汁のいいかおりが部屋中を包み込む。

笑顔な藤崎社長はわたしを見下ろしている。

すでに髪をセットし身支度も完璧に行っていた。

ぼさぼさな頭にパジャマ姿のまま食卓を囲んでいた。

「朝ごはんはきちんと食べなければ仕事になりませんからね」

「すみません、こんな格好で」

「リラックスできているようで安心しました」

わたしも身支度をすませたけれど、藤崎社長と一緒に出るのも気が引けた。

「遅刻しますよ」

と、わたしの手を引いて一緒に会社に入る。

時頼さんは外回り、二階堂さんは出向先に向かっているので、会社内でも一緒だ。

不思議と社内に入るとあたりまえだけど真剣な表情だ。

「ずっとみていましたね」

「ごめんなさい」

「あやまってばかりですよ」

夕食を囲みながら好きな人と笑いあえる。

こんな毎日が普通のカップルなんだろうな、とぼんやり思っていた。
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