高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
一週間とはいえ、藤崎社長との同居は楽しかった。

その反動なのか、今朝の目覚めが悪く、ぼんやりとテレビをつけて冷蔵庫にあった藤崎社長の作り置きしてくれたおかずを食べて会社へ出かけた。

「おはようございます」

「おはようございます、つむぎさん」

藤崎社長は普段通りにきちっとしたスタイルで仕事を進めていた。

由基から朝10時には会社へ向かうと、その時だけメールをくれた。

時頼さんも二階堂さんもいない二人だけの空間。

嬉しかったり、ドキドキがとまらなかったりしていたのに、空調が効きすぎているような冷たい空気が張り巡らされているかのようで、息がつまりそうになった。

「藤崎社長、今日ですけど」

「わかっていますよ。ビジネスですから」

と藤崎社長は突っぱねるように言葉を返した。

どうにもならない、やるせない気持ちでいっぱいになりながらも、ここは職場なのだからと気持ちを切り替えて仕事を進めていた。

予定の時刻より早めに由基が会社へ到着した。

「朝倉由基です。この間は失礼いたしました。こちらが当社で考えているプロジェクトでして、業務提携させてもらえませんでしょうか」

ちらりと机に並べた資料をみると、ビックデータや仮想通貨についての活用、AI事業の案件だった。

これから大きな事業が待っているからといっていたのはこのことだったのか。

藤崎社長はわたしの部屋にいたときと同じように顔色を変えず、ただ目の前にある資料を読み込んでいる。

「朝倉さん、よろしいですか?」

「はい、社長。なんでもおっしゃってください。無理でしたら、見積もりから少し削りますんで」

と、ご丁寧に見積書を提示する始末だった。
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