高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「この企画書はボツですね」

藤崎社長は一言、そう口にした。

由基はみるみるうちに顔を青ざめさせた。

「どういうことですか、藤崎社長」

「いいたいことは全部顔にでてますよ、朝倉さん。しっかりと計算をなさったのかわかりませんが、まずこの予算ではできないこと、別の企業先からもあなたの会社がやっている事業に疑問視する声を聞きましてね」

「……そうやって俺だけじゃなくてつむぎにもバカにしているってことか」

「諦めてもらいましょうか。この仕事もつむぎさんのことも」

「どういうことだよ!」

「あなたの想像のとおりで」

じろりときつく由基はわたしを睨んでいた。

「由基、ごめん。もう終わりにしよう」

「終わりってなんだよ。俺が付き合ってあげてるの、わかって言ってるんだよな」

「もうおしまいにしたらどうですか。というか、もともと始まってもいなかったんじゃありませんか」

「なんだよ。それ」

「かなり親しい女性がたくさんいるという話を聞きましてね。受付のみのりさんでしたっけ、あとは経理のまなみさん、そして営業アシスタントのはるかさんでしたっけ。男冥利につきますね」

「なにをバカなことを」

「証拠、おみせしましょうか? 実によく撮れてます」

藤崎社長はジャケットの内ポケットから写真をテーブルにばらまいた。二人睦まじい仲をたくさん収めたものだった。

「いつかは利用したいがためにつむぎさんとおつきあいをしていたってことですか」

「それは……。ああ、そうだよ。しかたなく付き合ってあげてたんだよ、かたつむり」

かたつむり、だなんて。

由基からそんな悪口を聞きたくなかった。

「かたつむりなんかじゃない。ゆっくりと丁寧に接してくれている。それなのに、あなたにはつむぎさんに向き合ってこなかった。粗末に扱うな!」
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