高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「どうせ社長と寝たんだろ。せいぜい社長と仲良くやってろよ。はじめからおまえとなんか付き合ってるつもりはなかったよ。ただやりたいときだけだ」

「……由基」

「これ以上話をしてもムダ。次の約束した大口の話のわかる会社へ向かうので失礼します」

由基は怒りにまかせて机の資料とともに、写真も一緒にカバンにつめこんで帰っていってしまった。

藤崎社長は立ち上がり、自分の席に座りなおり、仕事をはじめていた。

「藤崎社長、ごめんなさい」

「いいんですよ。つむぎさんは悪くはありません。彼氏……、元彼さんの責任ですよ。商材もインチキでしたから」

「わかってはいたことですけど、あんなひとを彼氏だなんて」

彼氏という存在さえあればよかったんだ、と改めて気づかされた。

それ以上のことは藤崎社長から教わったけれど。

彼氏がいなくなった今、藤崎社長への気持ちが揺らいでいる。

契約彼女という仕事をまっとうするだけだし、藤崎社長には婚約者がいるし。

藤崎社長との本気の恋愛なんて、無理だろうな。

恥ずかしいところばかりみせていたわけだし。

不安を抱えたまま、仕事をするけれど、どうしてだかうまくキーボードが打てなかった。

昼休みに入ったとき、藤崎社長が立ち上がる。

「さて、おしまいにしましょうか」

「おしまい?」

柔らかく笑った藤崎社長はスマホで誰かに連絡していた。
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