高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
藤崎社長はその日、首筋に跡をつけないまま解放してくれた。

もちろん、帰り際に唇を塞がれたのは言うまでもないけれど。

二階堂さんは出向先にいったまま、しばらく戻らなかった。

時頼さんはなんだかんだで外回り中を狙ってランチに誘ってきたけれど、用事があるといって約束をはぐらかしていた。

藤崎社長は会社周辺を飛び回ることが多くて、わたしの就業時間が終わっても帰ってこないことが多くなった。

週の終わりの金曜日、午前中に小ぶりの荷物が会社宛てにひとつ送られてきた。

時頼さん宛てで、名前欄は未記入だった。午後に差し掛かったところで藤崎社長が会社に戻ってきた。

「荷物届いてますが」

小包を藤崎社長にみせると、段ボールの上に貼られている送り状をみつめながらあごに手をやっている。

「困りましたね」

「あの、どうかしましたか」

「そういえば星彦から時頼宛ての荷物の住所をこちらにしたと連絡が入りましてね。もしかしたら緊急のものかもしれません。月曜はそのまま営業回りと聞いていますね」

「あの、これ時頼さんに届けたほうがいいでしょうか」

「そうしてくれると助かりますよ」

と、藤崎社長はさらさらとメモ帳に住所を書いて手渡した。

住所は会社とわたしのマンションのちょうど中間地点の場所にある。

「この住所でしたら家までの場所にありますから」

「よろしく頼みますよ」

藤崎社長はそういうと満足そうに表情を緩めた。
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