ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
細く痩せこけてしまった彼女は歩くだけの体力がなかった。

俺は彼女の車椅子を押してヴァージンロードを歩く。

皆の祝福を浴びて美桜と神の面前で愛を誓った。

――――――そしていつも出て来た彼女の泣き顔に場面が戻る。


俺はずっと自分が不甲斐ないから彼女が泣いているんだと思い込んでいた。
だから、俺は人を愛してはいけない男だと思った。

美桜の容体は急変していた。
「美桜!!美桜!!!」

俺は彼女の名前を何度も呼ぶ。

呼吸するのも苦しげな美桜。


「あり・・・がとう…壱真・・・さん」

途切れ途切れに紡がれる美桜の感謝の言葉。


「俺もありがとう・・・美桜」

俺も彼女に応える。

彼女の瞳から伝う涙。


それは悲しい涙ではなく感謝の涙だったーーー・・・

俺は彼女を懸命に愛していた。


そして俺は早すぎる彼女の最後を看取った。

俺はちゃんと一人の女を愛せる男だ。

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