ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
でも、あの一件以来、伊集院家の方が遠慮して、家族ぐるみのお付き合いを控えた。
あれは俺が9歳で小陽がまだ、4歳の時。
俺は躓いて泣いていた小陽を慰めていただけなのに。小陽の兄の紡(ツムグ)が理由も訊かず、俺が小陽を泣かしたと勘違いして、石を投げつけてきた。
俺の額に思いっきりぶつけやがって、流血…7針も縫う大けがを負った。
思い出しただけで、額に残ったその傷が疼き出す。
俺は古傷に気を取られていると季実子は身支度を整えて、バスルームに行ってしまった。
「本当に帰るのか?」
俺が季実子の後を追い駆けてパウダールームにいく。
季実子は籐のカゴに入れられたアメニティグッズの中から、ブラシを取り出し、髪を梳いていた。
「拓真は仕事するんでしょ?」
「仕事はするけど」
「別れは考え直せよ」
季実子を引き止める。
「次の秘書に夜のお相手も頼めば、いいじゃない」
「そんなもん、頼めるワケねぇだろ!小陽は伊集院元総理の娘だぞ!!」
「では、お疲れ様。濱部副社長、そして・・・さようなら」
季実子はスイートルームに俺を残し、出て行った。
あれは俺が9歳で小陽がまだ、4歳の時。
俺は躓いて泣いていた小陽を慰めていただけなのに。小陽の兄の紡(ツムグ)が理由も訊かず、俺が小陽を泣かしたと勘違いして、石を投げつけてきた。
俺の額に思いっきりぶつけやがって、流血…7針も縫う大けがを負った。
思い出しただけで、額に残ったその傷が疼き出す。
俺は古傷に気を取られていると季実子は身支度を整えて、バスルームに行ってしまった。
「本当に帰るのか?」
俺が季実子の後を追い駆けてパウダールームにいく。
季実子は籐のカゴに入れられたアメニティグッズの中から、ブラシを取り出し、髪を梳いていた。
「拓真は仕事するんでしょ?」
「仕事はするけど」
「別れは考え直せよ」
季実子を引き止める。
「次の秘書に夜のお相手も頼めば、いいじゃない」
「そんなもん、頼めるワケねぇだろ!小陽は伊集院元総理の娘だぞ!!」
「では、お疲れ様。濱部副社長、そして・・・さようなら」
季実子はスイートルームに俺を残し、出て行った。