ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
廊下に小陽の姿はなかった。
俺の思い違いか?普通にお手洗いに行っただけか?


俺は辺りをキョロキョロ伺いながら、奥へと突き進む。

奥に進むと、外の日本庭園に通じる出入り口が見えて来た。


俺は日本庭園に出て、小陽を探す。


「小陽!!」


小陽と椎名衆議院議員が人工池の橋の真ん中に佇んでいた。


「拓真…さん?」


「小陽に何の話ですか?」


俺は椎名衆議院議員を威嚇し、小陽の肩を抱いて自分に引き寄せる。


「俺は小陽さんにプロポーズをした。その返事が訊きたかったんだ」


「返事も何も…小陽は俺と結婚する」


「身の固い彼女に手を出して、カラダを奪い取ったんだろ?
会員制バー『プラチナ』では有名だぞ。お前は手の早い御曹司だと」


「それは遊び用だからさ。本気で惚れた女にはそう簡単に手を出さないんだよ。
小陽とは結婚まで清い関係でいる。プロポーズの返事なんてて訊くまでもない。
俺と結婚するんだからな…なぁ?小陽」


小陽は何も言わず、俺のスーツの袖をギュッと握った。

「言っとくけど・・・俺は紡に認められた小陽さんの相手だ。この結婚には異議がある」

「それはフラれたのを認めない負け犬の遠吠えだ。いいから、手を引けっ。帰るぞ」
俺は小陽の手を引いて部屋に戻って行った。




< 86 / 371 >

この作品をシェア

pagetop