お嬢様と7人の男子
ピーンポーン
「はーい、どちら様ですか」
「前田です。病院で娘さんと仲良くさせてもらった者です」
ガチャりとドアが開いた
出てきたのは母親らしき人だった
「どうぞ、中に入って」
「お邪魔します」
家の中にお邪魔した
「どうぞ、座って。今お茶をだすから」
「わざわざすみません」
お茶とお菓子を差し出した
前田くんの向かい側の椅子に座った
「あの子の友達が来てくれるなんて、あの子も喜ぶわ」
「あの、娘さんは?」
母親は黙った
「2ヶ月前にね、亡くなったのよ」
「え、」
どこかで俺は納得していた
いやわかっていたのかもしれない、もう居ないんじゃないかって
でもその反面、元気になってるんじゃないかと期待してた
もっと、もっと早く居場所がわかっていれば
最後に会ってれば良かった
後悔だらけだった
「でも、あなたが来てくれてよかったわ。渡したいものがあるの」
そう言って、母親は引き出しから何かを取り出した
「あの子からあなたに渡してって頼まれてたの」
渡されたのは手紙だった
「読んでいいですか?」
「ぜひ呼んであげて、あの子のためにも」