下宿屋 東風荘
「すごいな。お前遊んでるだけじゃなかったんだ」

「遊んでるって、遊んでないよ。家庭教師とここの往復だけだもん」

「それにしても、驚きましたねぇ。梯子を直す公務員......面白いかも知れませんよ?」

「もう、あれは見よう見まねで覚えたんだから関係ないって。でも、学生のうちに司法試験に受かるやつもいるって聞いたし、頑張ろうかと思って」

「応援してますよ。ですが、お酒は飲みすぎです」と、ヒョイっと取り上げる。

時間を見るとあっという間に22時を過ぎている。

パンパンと手を叩き、皆さんお開きですよ。係りの子は片付けて、他の子は歯磨きしてくださいと言い、明日の引っ越しは大丈夫かと聞く。

「大丈夫です。でも寂しくなります」

「いつでも遊びに来たらいいよ。みんな待ってるから」

「ありがとうございます」

そう言い明日早いのでちゃんと寝るようにと声をかけ、洗い物を済ませてしまう。
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