素直の向こうがわ【after story】
「なんか、もう、俺の化けの皮剥がれたって感じだよな。おまえには一番聞かれたくなかった。おまえには余裕あるとこ見せたかったし、カッコつけていたかったしな。全部台無しだ。ほんと、俺って間抜け」
無理に笑う顔は、もはや笑顔にはなっていなくて。
自嘲気味な口調で、自分自身を傷付けているようにも見えて私はたまらなくなった。
「徹! そんなことないって。徹は徹だよ。私の方こそ何も分かってなくてごめん。徹、ごめんね――」
「やめろよ!」
徹の声が私の胸に突き刺さった。
「謝まったりするなよ。おまえが謝ることじゃないだろ。おまえに謝られたら、俺は……」
徹の絞り出すような声に、何も言葉を発することが出来ない。
ただ俯く徹を見つめていることしか出来ない。
「とにかく、俺の言ったことなんて気にしなくていい。おまえは俺に気を遣ったりするな。……情けない話聞かせて悪かった」
「徹――」
「……悪い。今日は、一人にしてくれないか? これ以上情けないとこ見られんの、キツいから」
そこには、有無を言わさぬ雰囲気が滲んでいて。
それは、私を拒絶しているように思えた。