私魔法使いらしいので異世界救ってきます
「ってことはその異世界?とやらでは、自分達のいる世界とは別の世界があるってみんなが知ってるんですか?」



男の子の疑問はごもっともだ。


いくら簡単に世界を行き来出来るくらいの力があったとしても、自分達のいる世界とは別の世界があると知らなかったら今私はここにいなかったかもしれない。


でもみんなに広まっていたら私達も快く受け入れて貰えるんじゃないか?


そんな期待はものの見事に壊された。



「いや、少なくとも俺がふざけて魔法陣を別の世界に作るまでは誰も知らなかったと思うぞ。俺がいなくなってからは知らないけどな。でも、そんな俺のおふざけのおかげでお前らが産まれたんだからな?」



最後に尊敬しろよ?と付け加えた雄二さんは色々と残念だなぁ。


それにしてもふざけて別の世界に魔法陣とやらを作れるってお父さんが言う通り本当に規格外のようだ。


だんだん受け入れてきている自分に驚きつつも、大人達に話を続けるよう勧める。



「それで事情はよーく分かったけど、私達に何をして欲しいの?」



「実はお母さん達魔王を倒さないでこっちに来たの。そしたらこの間様子見に行った時、魔王率いる魔族軍と、国王率いる人間軍の対立が更に酷くなってるし、奴隷もいるし、国政は最悪だしで目も当てられない位だから、どうにかして来て?」



「完全なとばっちり」



確かにお母さんには今までたくさんお世話になったよ。


親孝行もしなきゃなって思ってたよ。



「けど尻拭いにしては規模がでかすぎる」



「第一父さん達が戻って倒してくればいいだろ?」



「それがなー、父さん達は国を裏切ったわけだから、魔族軍は勿論、人間軍にも味方がいないんだよ」



「それにさすがに2人で倒すのは無茶ね。若い頃ならまだしも」



きっと大規模であろう魔族軍すらも若ければ2人で倒せるという異常な力。


かなり期待されていたはずなのに裏切ったんだから、そりゃあ味方もいなくなるわけだ。



「でも、もし俺らがあっちに行って世界を変えるとか言ったって魔法を使えなきゃ意味ないだろ?」



その形の良いプルンプルンの唇から話される内容がファンタジーすぎて、半周回って笑いそう。


というかこの空間自体がおかしいから今更か。


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