イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「ゲッ!!」

 機内から出てきた人物に、逸早く反応を示したのは漸だ。

「ちょっと、『ゲッ』てなによ。失礼しちゃうわねえ」

 まるで妖怪にでも遭遇したかのような漸の態度に、目のまえの人物は気分を害して憤る。

「ははは。安藤さん、ごめんなさい。弟は思ったことが、すぐ口に出ちゃうタイプなんで」

 「素直なところが漸の長所なんです」――などと、凛は漸の代わりに謝罪しながら、そうつけ加える。はたして其れはフォローになってないぞと、漸は心のなかでつっ込んだ。

「まあ~~~そろいも揃って、似た者双子ねえ。ほーんと失礼しちゃう! 良いのは顔だけなんだから」

 まだブチブチとひとり文句を垂れるのは、オフィス・マネージャーの『安藤 一誠(あんどう かずなり)』三十七歳、男。言わずと知れたニックネームは『アンディー』だ。

 流暢に女言葉を操るアンディーこと安藤は、悪ぶれもなく微笑む凛を一瞥すると、やれやれとでも言うように両手を広げてシュラグのジェスチャーをする。

 ガチなオネエの安藤ではあるが、大仰なポーズもさらりと似合うほどに、一見するとモデルと見紛うほどの詐欺イケメン。

 これには多くの女性が泣かされたという、逸話もついて回るのであった。
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