イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ごめんねえ。お待たせ」
ドアがひらくと、にやにやした凛が顔をだす。それからつぎに、気まずそうな表情をした漸が、頭に手をやりながら碧羽に謝り入室した。
「遅くなって悪かったな」
「お、おかえり……なさい」
両手を頭上に掲げたまま、碧羽は全身を染め上げ固まってしまう。
いいモノでも見た聞いたと言わんばかりの、凛のニヤついた顔と、バツの悪そうな漸の顔から目が離せない。
これは大アクビも大声も、しかとふたりに聞かれたに違いない。
しかも節までつけて『戻ってこい』と熱唱してしまった。あまりの羞恥に、碧羽は軽く死ねそうである。
「ふふッ……遅くなったね。暇だった……ふふッ、でしょ。さあ、帰ろう……か。ふふッ」
「…………ん」
『ん』しか言えない碧羽の手を握り、漸が彼女を無言で部屋から連れ出した。
部屋に残された凛は、笑いを噛みしめながら置き去りのペーパーバッグを持って後につづく。
「ひどいよ、僕を置いてくなんて」
「てめえは、ついて来んな! デリカシー皆無野郎」
「まあ反論は出来ないけどね」
碧羽を慮る漸のまえで、凛は頬に人差し指をつけて『テヘペロ凛』などとおどけ、舌を出しては漸にシバかれた。……しかもダジャレであった。
呼んだエレベーターが到着する。ゆっくりとドアが開き、機内からとんでもない人物がすがたを現す。