イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
双子は、いつしか彼女を、異性であると意識するようになる。
それもそのはず、育ち盛りの身空、否応もなしに体躯の成長は目まぐるしい。
美しく成長してゆく碧羽。近くで見ている双子にとって、それは拷問に近いものがあったのだ。ともに入浴するなど以ての外である。
凜と漸は、己のなかのふたつの存在に、『なんの試練だ、これは!』とつっ込みを入れる。
――それは、理性という名の天使と、欲望という名の悪魔。
双子にとって、この悪魔の誘惑はまさに、拷問と試練の連続であった。
幾度となく挫折しそうになるのを、ふたり叱咤と牽制をし合い、ともに窮地を乗り切っていたのだ。果てしなく、ぎりぎりのラインではあるが……
のちにこの試練を振り返り、双子は其々こう語っている。
『ほんとヤバかったよね。理性総動員? みたいな』
『俺は母親の裸を想像して乗り切った』
『うわッ……おまえソレ……がんばったよね、うん』
『……ああ』
数多の経験が、のちに双子を形成する『忍耐』という心の強さを形作ることとなる。
それは涙を誘う、数々の我慢からなるのだが、ともあれ並大抵のことでは心折れることはない。