イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 まさに、健康的な十代男子の生理現象をも凌駕する、碧羽を大切に思う双子の心の裡――天使の勝利であった!!……お疲れさま。と、労いたい。

 だがそれほどまでに、心の強さを取得するにはもう数年を有し、よって彼らが碧羽と寄り添うことになるのは、もう少し後の話になる。

 今は双子の過去の経緯についてを語ることとしよう。

 双子にとって最も大切な存在は、他でもない碧羽である。物心がつくまえから、ともに寄り添っていた存在。

 ともすれば、兄妹と言っても過言ではない年月を過ごしているが、一度足りとて凜と漸は碧羽を妹ととして慕ったことはないのだ。

 いつも隣にいる存在。笑顔の可愛い女の子。彼らにとって、碧羽はなにものにも代えがたい存在であり、彼らが守るべき塔の上の姫君なのである。

 碧羽は、その溢れんばかりの光に満ちた美しさを以て、異性を惹きつけてしまう。

 それは同学年や下級生、将又上級生や一部の大人に至るまで、こよなく愛されてしまうといった特技を有していたのである。

 これには双子も黙って過ごしていたわけではない。碧羽に近づく不逞な輩や馬の骨に至るまで、彼らは等しく此れを牽制していたのだ。
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