イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
そこで双子は考えた。碧羽の身を守りながら、しかも女子たちの攻撃の手から救う手段を。
この矛盾した、不毛なループを断ち切るために、双子が決したこととは――
まだ子供で自分たちにはなんの力もない。
凛と漸は、自分たちの力で碧羽の身も心も守れる力をつけるため、いつか大人の男として碧羽のまえへと戻ってこれるように、自分たちを磨き精進しようと決意する。
『それまでは、暫しのあいだお別れだ……碧羽。待ってて。強くなって、絶対きみの許へと戻ってくるから――』
彼らは、心のなかで碧羽にそうお別れの言葉を告げる。
それから双子が、彼女と距離を置く最後の日。最後の晩餐ならぬ、最後の夕飯を三人でとっていた。
碧羽の母は身体が弱く、床に臥せることが多かった。
父親に至っては、仕事が忙しく、アトリエで過ごすことも珍しくはないので、いつも碧羽はひとりで食事をとっていた。
それを不憫に思う双子の母親が、よく碧羽を食事に招いていたのだ。
最後の晩も、双子の家で食事をした。
楽しく過ごし、母親お手製のヴィクトリアケーキを味わい、いつものように双子の部屋――当時は凜と漸はひとつの部屋で過ごしていた――でひと時を過ごしたときのこと。