イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ねえ碧羽。いつも教室でひとりでいて、淋しくない?」
「? 淋しくなんかないよ? だって、凜も漸も休みの時間になると、わたしのところに来てくれるもの」
「まあ、そうなんだが……そうじゃなくてだな。俺たちじゃなくさ、女と遊んだりしたくないのか?」
「んん……別に? だって、凜と漸が遊んでくれるもの♪」
「「…………」」
碧羽の科白に返す言葉が見つからず、顔を見合せ閉口するふたり。
やはり、自分たちが碧羽のそばにいる限り、彼女は女子たちから孤立したままだ。なによりも、彼女自身が捉える、危機的自意識の希薄さを憂いた。
通常ならば、同性から無視されたり敵意を向けられたりすれば、少なからず焦燥に駆られるはずである。だが碧羽は、まったく気にする様子は窺えない。
碧羽が感じるべきフラストレーションを、代わって双子が感じる……
どうして俺たちが――などと、内心複雑な双子ではあるが、それでもこの世で最も大切な子のことを心配してしまうのは、致し方がない。惚れた弱みなのだ。
凛と漸は、この間違った状況を、あるべきルートへと軌道修正するために、予めふたりで打ち合わせて決めた言葉を彼女に告げる。