イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 黒縁眼鏡(瓶底)、それと様々な衣服である。

 しかも残念なことこの上ない、センスも何もあったものではない衣服。もはや、どこぞの部族の民族衣装といっても過言ではなかった。

「……ほんとに、こんなのつけなきゃダメ?」

「「ああッ!!」」

 やはり力強く頷き、今度はガッツポーズで碧羽に意思疎通をはかる双子である。

 それに対し、碧羽はやはり微妙な面持ちのまま、レンズの丸い黒縁眼鏡(瓶底)をつまみ上げた。

 実は、碧羽は視力は悪くはない。それどころか、良いほうである。この眼鏡は伊達眼鏡なのだ。

 なんとも泣けてくるような、このダサいルックスを擁した眼鏡は、碧羽の美しい顔を隠すための変装用アイテムなのである。

 『どこで見つけてきたの』とつっ込みたい、この酷いバラエティーの数々。

 眼鏡も衣服も、凜が碧羽のために用意したものだ。では、どこで? この酷い物体たちを揃えたのであろう――

 その答えは、双子の母親のビジネスである、アパレルメーカーにあった。

 双子の母親は、ティーンエイジャーを中心に絶大な人気を集める、服飾、アクセサリー・デザインオフィスのオーナーである。
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