イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「はい……その――」

 又聞きではあるが、蓮見が聞いた噂とはこうだ。

 凛が心変わりをして、由梨子は捨てられた。凛が元々半年以上、ひとりの子を愛することは出来ない性癖であった。

 凛が同時に五股進行で、女の子を手籠(てご)めていた。凛が――

「!ッ―――もう、いいから。さっきから、『凛』が『凛』がって、ちょっとひどいよね」

「くふッ……ふはッ……つか、ぜんぶ合ってんじゃねえか」

「うるさいな。てか、その溜め笑いやめてくれる? 漸。イラつくから」

「いい気味だぜ」

「…………で、その噂は女子たちに回ってるんだね?」

「あの、その……ごめんなさい。回ってるって言っても、どれも信憑性のない噂っていうか。とにかく別れたってだけは、みんな信じてて……」

 あからさまに急降下した凛の機嫌に、慌てふためく少女、蓮見であった。

 彼女が語った凛の外道なる淫奔(いんぽん)ぶりはさておき、由梨子という者の正体は気になるところであろうか。

――由梨子

 姓名を『有栖川 由梨子(ありすがわ ゆりこ)』という。凛たちと同じく十七歳だ。

 約半年まえ、凛と有栖川は公認のカップルであった。

 艶やかな牡丹を思わせる、オリエンタルな魅力を湛えた有栖川は、男から一歩下がって従うような、稀な奥ゆかしい少女である。
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