無理すんなよ。
「マジで?楽しみにしてる!」
もう、どうして桜庭くんはそんなに綺麗な笑みを向けてくれるんだろう。
私のお弁当なんて、何も特別じゃないし。美味しそうでもないのに。
……って、また後ろ向きに考えてた。ダメだよね、さっき桜庭くんに言われたばかりなんだから。
「どうした?ひとりで百面相してるけど」
「えっ……な、なんでもないの」
どうしよう。心臓がドキドキと尋常じゃないくらい音を立ててる。
ただ桜庭くんの笑顔を見ただけなのに。慣れない暑さで気が滅入っちゃったのかな。
なんて思いながら、火照った頬を仰いでみる。けど、その仕草にもまた笑われてしまった。
みんなでいる時間が、楽しい。そう思うまでに時間はかからなかった。