ヒミツの夜、蛍の光の中で

「はい、わかりました」


少し名残惜しいけど、ひと通り見終わったし。……まあいいか。


そう思い、体育館をあとにした。



そのまま廊下を歩いていくと、人気のないところを見つけた。


ちょうどいい場所だったので、そこにしゃがみこむ。



「ふう……」


体育館の熱気は予想以上のもので、外に出た今でも体が熱い。


見ている人も一体になる、ってこういうことなんだな。



「気をつけっ、礼!」


「ありがとうございました!!」



……すごい、元気な声だ。


さすがバスケ部。プレー以外も熱いなんて。




そう思っていたところに、さっきの先輩の顔が滑り込んできた。



「さっきの子、だよね?」


さっきと同じような優しい声。


そのトーンに、少しだけ心が軽くなった。
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