大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「早織のこと、忘れないから」


『え……、でもそれじゃあ……』


「早織と重ねた時間は、私の生きてきた道。だから、それを否定するのは、私自身を否定することと同じだから」



胸に手を当てれば、早織と過ごした日々が鮮明に蘇る。

どれも、かけがえのない……早織との思い出だ。



『……湊、湊が私を忘れないと、湊はずっと苦しむんだよ?だから、早く忘れて幸せになって?』



早織は……いつまでも優しい。

だから、自分を犠牲にしてまで、私を幸せにしようとするんだ。

早織は……命を失っても、私の傍にいてくれた。

今度は、私があなたの傍にいる番。



「ねぇ早織、あの日は、勝った方が相手に一つだけどんなお願いでもできるって……そう言ってたよね」


『え、うん……。それは、言ったけど……』


「なら、勝負しようよ」



私は、あの日とは逆で、私から勝負を持ちかける。

構えをとった私を、早織が驚いたように見つめた。


早織が、死んでも私の傍にいてくれたように……。

私も、早織の傍にいたいんだよ。

自分を犠牲にしないで。

見えなくても早織は私の中でずっと生きていく……そんな早織のことをずっと忘れずにいるって決めた。


だから……私のために消えようとしてる早織に、私がどれだけ早織を必要としてるのかを伝えるために証明するよ。




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