大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「いきなり川の中に入ってくヤツがどこにいんだよ!?いや、ここにいたかっ、このバカ湊!!」


「ケホッ、ごめんね……」


「心配した……本当に、無事で良かった……っ」



震える声で私を抱きしめてくれる。

海斗……やっぱりこの人が好きだなって思い知らされる。

胸が切なく締め付けられるほどに。


「ありがとう、海斗……」


背の高い湊が私の体を抱えてくれてるからか、足が付かなくても不安にはならなかった。



「ちゃんと、話せたのか?」


「……うん、もうこれで大丈夫」



周りを見渡せば、大好きな親友の姿はない。

だけど、悲しまないように頑張るね。


だって早織は、私の胸の中に生きてるんだから。



「そっか……頑張ったな、湊」


「っ……うんっ」



私に向けられる優しい海斗の笑顔。

あの日、親友の手を掴めずに大切なモノを失ってしまった私。

今度は、ちゃんと早織の手を掴めた。

だから、もう後悔ばかりして、俯いて生きてきた私とはサヨナラしよう。


これからは……あの水面から引き上げてくれた海斗と、この手を繋いで未来に進んでいこう。



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