大好きなきみへ、あの約束をもう一度


「え……痛たたたっ!!は、離せって海斗!!」


「なら、さっさと謝れ」


「す、すみませんでした!!」



男子が謝った途端、みんなが逃げるように散らばっていく。

それに白状だなと思いながら、私はどっと疲れを吐き出すようにため息をついた。



「疲れた、早く音楽室行かないと……」


そう言って、何事も無かったかのようにその場を離れようと歩き出す。


『え、海斗くんと毒島さんは!?』


「だって、わざわざ大丈夫?なんて声かけたら、ありがとうって言って欲しくて助けたみたいじゃん」


それって、ただの恩売りたいだけの人間と一緒になる。

そういうのって何か嫌。

海斗は……単に、助けられたことが恥ずかしいだけ。

別に、助けなんていらなかったのに。



『湊……まーた意地張って!ちゃんと海斗くんにありがとうって言いなよ?』


「……考えとく」


『もー、湊のコミュ障!!』


言われ放題だな、早織に。

そんなことを考えながら歩いていると……。



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