エリート外科医の一途な求愛
「す、すみません!!」


連絡もナシに一時間遅れてバーに現れたずんぐりむっくりが、手を振って合図した私の前に立った途端、直立不動で頭を下げた。


「いえいえ。お仕事、忙しいですよね。来てくれただけで嬉しいですから、早く座って飲み物でも……」


カウンターの椅子の角度を少し動かしながらそう促した。
けれど、彼は立ち尽くしたまま隣の椅子に座ろうとはしない。


「あの……?」


ドリンクメニューを手にしたまま首を傾げると、彼はもう一度、『すみません!』と大声で謝った。


「は?」


その声に怯んで、私も何度か瞬きをした。
まだ週の真ん中のバーはそれほど混んでいないけれど、そこそこテーブル席も埋まっている。
彼の大声のおかげで、店内の客がこっちに視線を向けているのが感じられる。


「とにかく座って」と続けようとした私に、彼はふるふると全身を震わせながら、


「ぼ、僕はやっぱり、あなたのお相手は無理です……!」


一言、吐き出すようにそう言った。


「え?」


一瞬何を言われたのかわからず固まる私に、彼は勢いよく続きを捲し立てた。
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