エリート外科医の一途な求愛
「今、思い出して想像してんだろ」
「っ……! し、してません」
「してるしてる。今俺、脳外のオペしてる気分だ。葉月の思考回路丸見え」
「そんなわけないじゃないですか! そ、それに、先生。脳外のオペなんか、したことあるんですか」
「あるよ。研修医時代は、医局渡り歩いたからね」
シレッとそう返事をされて、私は思わず口ごもった。
考えてみれば、それはそうだ。
今は心臓外科が専門でも、他が出来ないというわけじゃない。
この間の救急ヘルプ要請だって、そこで心臓のオペをしてたはずがないんだから。
けれど、私のそんな思考までは見抜こうとせず、各務先生は私の手をそっと取った。
反射的にゴクッと唾を飲みながら、私は彼に握られた手を見つめる。
「葉月。今夜、ウチに来い」
「えっ!? な、なんで……」
「仕事の依頼、検討しておく。その返事してやるから」
「ちょっ、待って、なんで……!」
反論を返す私の手に、彼はパンツのポケットから取り出した鍵を握らせた。
そして、椅子を軋ませて私の目の前で立ち上がる。
「か、各務先生っ!?」
手の中の鍵を見つめて一瞬呆然としてから、横を通り過ぎる彼の背を、私は目で追い掛けた。
「っ……! し、してません」
「してるしてる。今俺、脳外のオペしてる気分だ。葉月の思考回路丸見え」
「そんなわけないじゃないですか! そ、それに、先生。脳外のオペなんか、したことあるんですか」
「あるよ。研修医時代は、医局渡り歩いたからね」
シレッとそう返事をされて、私は思わず口ごもった。
考えてみれば、それはそうだ。
今は心臓外科が専門でも、他が出来ないというわけじゃない。
この間の救急ヘルプ要請だって、そこで心臓のオペをしてたはずがないんだから。
けれど、私のそんな思考までは見抜こうとせず、各務先生は私の手をそっと取った。
反射的にゴクッと唾を飲みながら、私は彼に握られた手を見つめる。
「葉月。今夜、ウチに来い」
「えっ!? な、なんで……」
「仕事の依頼、検討しておく。その返事してやるから」
「ちょっ、待って、なんで……!」
反論を返す私の手に、彼はパンツのポケットから取り出した鍵を握らせた。
そして、椅子を軋ませて私の目の前で立ち上がる。
「か、各務先生っ!?」
手の中の鍵を見つめて一瞬呆然としてから、横を通り過ぎる彼の背を、私は目で追い掛けた。