エリート外科医の一途な求愛
そしてその夜、私は宣言通り美奈ちゃんに連れ出され、各務先生とのことを白状した。
美奈ちゃんは最初からピッチ早くグイグイグラスを重ね、今日は朝から二日酔いが酷いらしく、デスクでウコン片手にうんうん唸っている。


後でレモン水でも作ってあげるか、と肩を竦めながら、私はパソコンに向かって仕事を進める。
今朝方届いていたメグさんからのメールに返信をする。
彼女とは各務先生の渡米が決まってすぐ、連絡を取り合い始めていた。


日本から彼を送り出すのは私の役目だけど、アメリカサイドでの受け入れ準備の状況を私に連携する為に、彼女が連絡係を買って出てくれている。
今日のメールには就労ビザ申請に必要な書類が添付されていた。


『こっちに来てくれるの、楽しみだわ』


そんな言葉で締め括られたメールを、私は頬杖をついて見つめる。


ブラウン博士と楽しそうに食事をしていた各務先生の笑顔が、私の脳裏に一瞬浮かんだ。
そこにメグさんも加わって、三人が盛り上がる様子を思い出してしまう。


きっと、各務先生がアメリカに戻ったら、あんな感じで明るく楽しく仕事するんだろうな。
その光景がとても微笑ましくて、ちょっと羨ましくて、鼻の奥の方がツンとしてしまった。


『葉月、美人なのに変なとこ自己評価低いよね。イケメンの元カレに浮気されて振られたこと、自分で思ってる以上に引き摺ってるんじゃない?』


昨夜、早苗に言われた言葉を思い出す。
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