エリート外科医の一途な求愛
カタカタと、リズミカルにキーボードに指を走らせるレイを、俺は探るように見つめた。
そして、聞くことをちょっと躊躇いながら、声を潜める。


「レイ、さ……メグの両親に、もう挨拶って済ませてるか?」


まだ上司にも報告していないようだけど、レイとメグが来年夏を目途に結婚の約束をしていることを、俺はこの間聞いて知っていた。
『約束してる』からには、互いの両親への挨拶ももちろん済んでるだろうと思っていた。
けれど。


「挨拶も何も。俺はむしろ、メグの親からせっつかれて決めたようなもんだしね」

「……そうだった」


なんせレイとメグは、大学時代からの付き合いだ。
会う度に『早く結婚を』と言われるから、むしろレイの方が、メグの家に遊びに行くのを抵抗していたくらいだ、この数年は。
メグから報告を受けて、彼女の両親の方から挨拶に来たと思うのが正解だろう。


つまり、この男に聞いてもなんの参考にもならないということ。
彼からのヒントは諦めて、俺もデスクに向かおうとした。
その時。


「なんだ? ハヤト。……って、そうか。君も同じ問題を抱えてるってことか」


俺のたった一言で鋭く見抜いたレイが、長い足を組み上げ、ニヤニヤしながら斜めの視線を向けてきた。
見抜かれたからには、俺も腕組みをして、肩を落として溜め息をつく。
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