エリート外科医の一途な求愛
「どうでもいいが、すごい言いがかりじゃないか? 人間を顔で判断するなよ」
眉間に皺を寄せ、細めた目で軽く射抜かれる気がした。
ドキッと胸が跳ねてしまったのを誤魔化すように、私はプイッと顔を背けた。
「その顔で言うとやっかまれますよ。ナイフ持って出待ちされるんじゃないですか」
「……」
各務先生は心底から呆れたような目を向けていた。
ポカンと口を開け、呆気にとられたその様子に、私もハッと我に返る。
つい感情的になって言いたいこと言ってしまったけど、何度も言う通りこの人は准教授! 私の上司!
医局では教授の次に人事権を持つ人に、私、何を言いたい放題言ってるんだろう。
「し、失礼しました! 失礼します!!」
私は議事録を胸にしっかり抱え込み、各務先生に頭を下げた。
肩に置かれた手を振り払い、勢いよく踵を返す。
「仁科っ……」
各務先生の声が背を追ってくるけど、もちろん振り返る余裕はない。
カウンターで舟を漕いでいた司書さんに声をかけ、私は図書室から飛び出した。
そのまま一目散に、踵を鳴らして人気のない廊下を走り抜けた。
眉間に皺を寄せ、細めた目で軽く射抜かれる気がした。
ドキッと胸が跳ねてしまったのを誤魔化すように、私はプイッと顔を背けた。
「その顔で言うとやっかまれますよ。ナイフ持って出待ちされるんじゃないですか」
「……」
各務先生は心底から呆れたような目を向けていた。
ポカンと口を開け、呆気にとられたその様子に、私もハッと我に返る。
つい感情的になって言いたいこと言ってしまったけど、何度も言う通りこの人は准教授! 私の上司!
医局では教授の次に人事権を持つ人に、私、何を言いたい放題言ってるんだろう。
「し、失礼しました! 失礼します!!」
私は議事録を胸にしっかり抱え込み、各務先生に頭を下げた。
肩に置かれた手を振り払い、勢いよく踵を返す。
「仁科っ……」
各務先生の声が背を追ってくるけど、もちろん振り返る余裕はない。
カウンターで舟を漕いでいた司書さんに声をかけ、私は図書室から飛び出した。
そのまま一目散に、踵を鳴らして人気のない廊下を走り抜けた。