エリート外科医の一途な求愛
私の肩をポンと叩くと、そのまま小走りで廊下に飛び出していった。


「あ、行ってらっしゃい……」


そう声を掛けて、私は木山先生を見送った。
そしてなんとなく身を縮込める。


最初の一言を放ったきり、黙って佇んだままの各務先生の視線を感じる。
肩を強張らせながらそおっと振り返ると、彼はまるで仁王像のように腕組みをしたまま、私にジトッとした目を向けていた。


「俺の誘いはスマートに断るし、結構言いたいこと言ってくれたのに、木山先生にはずいぶんと弱腰なんだな」

「……」


ご指摘は確かにその通りだと思う。
ただ、言い訳させてもらうと、各務先生に言いたいこと言ったのはお酒が入っていた時だし、さっきはその話題で煽られて腹が立ったせい。
木山先生を断る理由は本当に人間として苦手だからで、それは素直に出せるものではないから、なんて断っていいか迷っただけだ。


気まずさいっぱいで、黙ったまま目線を流して逃げる私に、各務先生は大きく声に出して溜め息をついた。


「……まあいいや。それより君、俺に言わなきゃいけないこと、あるんじゃないのか?」

「は、はい。すみません。ありがとうございました」


私は慌ててシャキッと背を伸ばし、今度は各務先生に深々と頭を下げる。
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