エリート外科医の一途な求愛
妖艶に細めた瞳で射抜くように見つめられ、私の胸がドックンと大きな音を立てた。
顔が赤くなってるのはもう誤魔化しようがないけれど、このまま手の平の上で転がされてちゃいけない!


私は、顎を掴む各務先生の手を思いっ切り振り払った。
そして、その場に勢いよく立ち上がる。


「こ、これ以上からかうつもりなら、お話はもう終わりです!」


そう言い捨てて、ペコッと頭を下げた。
そのままソファを回り込み、応接室のドアに向かって大股で歩く。


「終わりはいいけど、取材。断っちゃっていいのか?」


ドアに手を掛けた途端、背中に涼しい声が掛けられた。


さすがに私もグッと口籠る。
悔しいけれど足を止めて、そおっと後ろを振り返る。


各務先生はソファに座ったまま、軽く身を捩らせて、シート越しに私を見遣っていた。


「断って、医局の予算が減ると教授も困るだろ?」

「……そうですけど」

「じゃ、受けてやるよ。ただし、プライベートは二時間。会食のみ。相手は仁科さん、君だ」


一瞬ホッとしたのも束の間、各務先生が出した条件に、私は思わず目を剥いた。


「な、なんですか、それ!」

「一日も割いてやる必要はない。どうせ使われるのはほんの数分の映像だけ。君との食事風景で十分だろ」
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