エリート外科医の一途な求愛
白衣姿の木山先生に、高瀬さんがポケットからいそいそと名刺入れを取り出している。
「どうも。僕も各務先生と同じ心臓外科医局で、講師を務めております、木山と申します」
高瀬さんの仕草を見て、木山先生もにこやかに名刺を交換した。
先生から受け取った名刺を見ながら、『講師の先生ですか』と高瀬さんが悪気なく呟くのを聞いて、木山先生はほんの一瞬気分を害したように眉を寄せた。
それを見て、私はなんとなく目を逸らす。
「それなら是非、お話伺えませんか? 木山先生。先生から見て、各務先生というのはどんな上司でしょう?」
高瀬さんが更に悪気なさそうに木山先生の地雷を踏む。
私はさすがにギクッとして、そおっと木山先生の様子を窺った。
私の予想通り、彼は頬の筋肉を引き攣らせて、『私の方が年上なんですけどね』と前置きをした後、
「医師としても人間としても、見習おうにも見習い切れない、ナンパな上司ですね」
更に毒のこもった一言を素っ気なく呟く。
目をきょときょとさせて「は?」と聞き返す高瀬さんの前で、木山先生は大きく腕組みをした。
「仁科さん。君もよく知ってる通り、どこに行っても彼には女性が群がるだろう? そりゃあそうさ。あれだけ手広く媚を売ってるんだから」
「どうも。僕も各務先生と同じ心臓外科医局で、講師を務めております、木山と申します」
高瀬さんの仕草を見て、木山先生もにこやかに名刺を交換した。
先生から受け取った名刺を見ながら、『講師の先生ですか』と高瀬さんが悪気なく呟くのを聞いて、木山先生はほんの一瞬気分を害したように眉を寄せた。
それを見て、私はなんとなく目を逸らす。
「それなら是非、お話伺えませんか? 木山先生。先生から見て、各務先生というのはどんな上司でしょう?」
高瀬さんが更に悪気なさそうに木山先生の地雷を踏む。
私はさすがにギクッとして、そおっと木山先生の様子を窺った。
私の予想通り、彼は頬の筋肉を引き攣らせて、『私の方が年上なんですけどね』と前置きをした後、
「医師としても人間としても、見習おうにも見習い切れない、ナンパな上司ですね」
更に毒のこもった一言を素っ気なく呟く。
目をきょときょとさせて「は?」と聞き返す高瀬さんの前で、木山先生は大きく腕組みをした。
「仁科さん。君もよく知ってる通り、どこに行っても彼には女性が群がるだろう? そりゃあそうさ。あれだけ手広く媚を売ってるんだから」