エリート外科医の一途な求愛
「ご心配なく。私、元々イケメンには興味ないんです。各務先生は上司と言うだけ。問題外です」
私の笑顔に逆に怯んだのか、木山先生はそれ以上絡むことなく廊下を先に進んでいった。
思わずふうっと口をすぼめて息をついた私に、高瀬さんが微妙に頬を引き攣らせながら、『言いますね~』と笑った。
それには黙って肩を竦めてみせる。
自分でもどうかと思うくらい高飛車な言い方になったけれど、そのくらい言わないとなんだか悔しくてたまらなかった。
不覚にもドキッとしてしまった各務先生の言葉が、私の脳裏をよぎる。
『俺は、大事な女に不安な想いなんかさせない』
各務先生の『大事な女』って、女性に囲まれる彼の姿を見て不安に思わないほど、鋼の心の持ち主なんだろうか、なんて思ってしまう。
そうじゃなきゃ、ちょっとカッコいいなんて思ってしまったあの言葉は、ただのはったりでしかない。
今となっては口だけの男のようにしか思えなくて、私の中での各務先生の株は急降下。
大暴落もいいところだ。
「……かばわなきゃ良かった」
完全に能面のように表情を失ってることを自覚しながら、私は自分の中で一番低いトーンの声でそう呟いた。
私の笑顔に逆に怯んだのか、木山先生はそれ以上絡むことなく廊下を先に進んでいった。
思わずふうっと口をすぼめて息をついた私に、高瀬さんが微妙に頬を引き攣らせながら、『言いますね~』と笑った。
それには黙って肩を竦めてみせる。
自分でもどうかと思うくらい高飛車な言い方になったけれど、そのくらい言わないとなんだか悔しくてたまらなかった。
不覚にもドキッとしてしまった各務先生の言葉が、私の脳裏をよぎる。
『俺は、大事な女に不安な想いなんかさせない』
各務先生の『大事な女』って、女性に囲まれる彼の姿を見て不安に思わないほど、鋼の心の持ち主なんだろうか、なんて思ってしまう。
そうじゃなきゃ、ちょっとカッコいいなんて思ってしまったあの言葉は、ただのはったりでしかない。
今となっては口だけの男のようにしか思えなくて、私の中での各務先生の株は急降下。
大暴落もいいところだ。
「……かばわなきゃ良かった」
完全に能面のように表情を失ってることを自覚しながら、私は自分の中で一番低いトーンの声でそう呟いた。