コンパスと鍵と真紀子さん


歴史と伝統ある私立高校。



そう言えば聞こえは良いけれど、もはや全身が傷まみれの校内。


目の前の扉もまた、その歴史の産物なんだと思う。



分厚い木でできているけれども漏れてくる声。


きっちり閉まらない小部屋の入口兼出口は、まるでただサイズにあてはめただけのボロ板。









「今井。」






白ちゃんの声がよく扉の外の私にも届いた。



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