コンパスと鍵と真紀子さん


めったに大声を出さない担任。



今のだって正確には大声ではないのかもしれない。


けれど、あんなにも響く
――それこそ、
骨の髄まで届きそうな――
白ちゃんの声を、初めて聞いた。





紺ちゃんの苗字は、

何かに縋りつくような、哀願の念が込められているような、そんな声で発音されて、


私はもう、金縛りにあってしまったみたいだったんだ。



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