特進科女子と普通科男子

「でもね、あいつは……私のこと嫌いなの」

「……え?」

「嫌いって言われたの」

「どうして……?」

「分からない。私、昔あいつに……告白したことがあるの。そしたら、」

彼女は唇をきゅっと引き締めて、堪えるように俯いた。

誰かに告白したことがあるなんて、知らなかった。

誰かを追いかける彼女の姿は想像しにくくて、逆にそれが、真実味を帯びていた。

( ……疑ってるわけじゃないけど )

どうにも意外だった。本当に、好きなんだって分かる。

「そしたら?」

言葉につまる彼女に、出来るだけ優しく
柔らかく微笑む。

彼女は歪に、へらりと痛みを誤魔化すように笑顔を作った。

「そしたら、「俺は嫌い」だって」
< 48 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop