特進科女子と普通科男子
「でもね、あいつは……私のこと嫌いなの」
「……え?」
「嫌いって言われたの」
「どうして……?」
「分からない。私、昔あいつに……告白したことがあるの。そしたら、」
彼女は唇をきゅっと引き締めて、堪えるように俯いた。
誰かに告白したことがあるなんて、知らなかった。
誰かを追いかける彼女の姿は想像しにくくて、逆にそれが、真実味を帯びていた。
( ……疑ってるわけじゃないけど )
どうにも意外だった。本当に、好きなんだって分かる。
「そしたら?」
言葉につまる彼女に、出来るだけ優しく
柔らかく微笑む。
彼女は歪に、へらりと痛みを誤魔化すように笑顔を作った。
「そしたら、「俺は嫌い」だって」