◆あなたに一粒チョコレート◆
***

約二時間後。

結局瑛太の出番は全く無かったけど、二年生の活躍が凄くて、良い勝ち方をした練習試合だった。

全ての後片付けを終えて解散する頃には昼を過ぎていて、部員たちはファストフード店へ行く話で盛り上がっていた。

「春。帰ろ」

瑛太が後ろから私に声をかけると、肩にかけていたバッグに手を伸ばした。

「あれ、皆とハンバーガー食べに行かないの?」

「行かないよ。帰るぞ」

「……うん」

空は青くて、今日はいつもより暖かい。

私の荷物を自分の肩にかけて歩く瑛太は、均整がとれていてこの空に負けないほど綺麗だ。

背、ほんとに高くなったなあ、瑛太は。

私なんて160センチ以下なのに。
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