陽だまりの林檎姫
「愛らしいでしょう?」

両手を腰に当てて栢木も負けじと主張する。

いま、北都は何を思っているのだろう。

屋敷に仕えるようになってから、いくつかの季節をここで過ごしてきた。

しかしボディガードという役割について未だにいい顔はしていないのが現状だ。

それは最初から変わっていない、だとすれば今日キリュウとの話をしたのは間違いだったかもしれないと栢木は目を伏せた。

これまで通りだと言ってくれた気持ちを信じたい。

周りを気にしてしまう状態でしっかりと働くことが出来るのだろうか。

「北都さん。」

自分にしか聞こえない声で呟いた。

必要とされているのかどうかを尋ねてみたいけど無駄な気がして胸に秘めてしまう。

北都がどう思っていても。

「それでも、私は貴方を守りたいんです。」

傍に居たいんです。

声に出せない思いを胸の内で唱えて速度を緩めた。

口にした言葉は届いたのだろうか。

北都は振り返る事無く言葉もないままただ前を歩き続けた。

少しずつ開いていく距離はまるでこの先の未来を表しているかの様、この距離は栢木が進まない限り近付く事はない。

自分の足が今後を左右するようで歩みが慎重になってしまった。

今はただ、この距離を保つだけで限界のような気がしても、栢木はただ歩き続けるしかないのだ。

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