陽だまりの林檎姫
やはり思うことは皆同じの様で、カフェテリアの席は満席状態だった。

北都のように1人で寛ぐ人も少なくないが連れだって来る人が殆どらしい。

席が空いたと思ったらすぐに埋まる、運よく空いている時間帯に入れた自分を褒めたくなった。

「あれ、相麻先生?」

声がかかり顔を上げれば見慣れた人物が珈琲を片手に立っていた。

「タータン先生。」

「奇遇ですね。同席しても?」

「勿論です。どうぞ。」

大した量ではなかったが広げていた荷物を片付けて親しい人物を迎える。

滅多にない偶然に自然と心が弾んで笑みがこぼれた。

「また勉強ですか?相麻先生。」

「…やめてもらえますか?わざとですよね。」

不貞腐れるように声を落とす北都の反応を見てタータンは楽しそうに笑い声をあげる。

この人はワタリ公爵に似ているところがある。

そう再認識した北都はさっきの笑みから呆れ顔へと変化させた。

「元気そうで何よりだ、北都くん。でも見事に相麻先生で反応したじゃないか。」

「周りがそう呼ぶのでつい、です。私は先生ではありません。」

「論文を提出したんだって?それが認められたら博士号が貰えるそうじゃないか。」

片眉をあげて問いかけるタータンに北都は静かに首を横に振る。

「大学を卒業していないのでまずは学士からです。修士も取らないといけないので3つ同時に論文を出しました。…どうなることやらですけど。」

「学生もやってるんだって?」

「講義を受けさせてもらってるだけです。薬学の教授の下に置いてもらってますが、中途半端な立ち位置ですね。」

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