イジワル上司に甘く捕獲されました
そんな私に。

「泣き虫」

とゆったり笑って、長い指で涙を拭ってくれる温かさに。

益々、涙がとまらなくなる。

初めての二人だけの朝食は嬉しくて、少ししょっぱい味がした。

「そういうことだから、美羽。
覚悟してて。
……もう離さないから」

口元は笑っているけれど、瞳は真剣で。

私はまた何も言えなくなる。

その代わりに。

小さく頷いて。

最後に私の心拍数を潤さんはこれでもかというほどあげて、頬から彼の指は離れていった。

それから。

遅ればせながら、私は潤さんにプレゼントを渡した。

私が潤さんからいただいたプレゼントに比べたらとても些細なものだけれど。

大事に使わせてもらう、と満面の笑みを浮かべて。

潤さんはありがとう、と嬉しそうに笑ってくれた。

大好きな人から贈り物をされることはとても嬉しいけれど。

大好きな人に贈り物をすることも、こんな顔を見ることができるなら幸せなことなんだと改めて思った。
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