イジワル上司に甘く捕獲されました
潤さんの部屋から自宅へと戻って。

荷物を置いて。

ペタンと部屋に座り込む。

自分の部屋の静けさが、まだ夢の続きのようにフワフワした自分の心には、何だか心地いい。

現在午前十一時過ぎ、真央はまだ帰ってきていない。

確か昨日が遅番で今日はお休みをとっていた筈。

どうしてもさっきまでの潤さんとの時間を思い出すと頬が緩んでしまうけれど。

約束があるし。

着替えをして化粧をしなきゃと立ち上がった時。

ガチャガチャッと派手な音をたてて真央が帰宅した。

「ただいまぁっ、美羽ちゃんっ。
帰ってる?」

「お、お帰り、真央。
あれ?翔くんは?」

ヒョコッと廊下に顔を出すと元気な真央の瞳とぶつかる。

「翔は一旦帰ったよ、また後で準備ができたら連絡するって言っといた。
美羽ちゃんは……今、帰ったとこ?
瀬尾さんは?
昨晩一緒だったんでしょ?」

図星な私はただ、コクコク頷く。

そんな私をじいっと見た真央は、いきなりガシッと私の左手を掴んだ。

「キャアッ、美羽ちゃんっ何これっ!
すごい素敵!
キラキラしてるよ」

指輪を見つけて興奮した様子で聞いてくる真央。

恥ずかしくなって思わず目を逸らす私に。

「ちょっと、美羽ちゃん?
瀬尾さんにもらったんでしょ?
いいなぁ、さすが瀬尾さん。
おしゃれだわ」

と、私を横目で見ながら話す。

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